フィリピン人女性と日本人男性の間の認知の訴えについて


フィリピン人女性からの相談をよく受ける。日本人男性との間に子どもができて、認知の相談に見えられる。

相談に対応させていただいても、案外当事者間で何とかなる。しかし、裁判にまでもつれこんだことも何回かある。そうなると、フィリピンと日本にまたがる、国際裁判になる。

さて、裁判は日本で起こせるのだろうか?(管轄の問題)

使う法律はフィリピン法なのだろうか? 日本法なのだろうか?(準拠法の問題)

備忘録として残しておく。

そもそも認知って何なのか

誰が父親かという問題

ある女性が子どもを産んだとする。その子の生物学上の父親がいるはずである。

しかし、DNA鑑定が無かった時代は、その子の父親を確信をもって特定できなかった。

女性の場合は、妊娠・出産という「明らかにあなたが母親だよね。」と断言できる出来事があるから、特定が問題になることは少ない。

 

そこで、主に子どもに父親を定める方法が問題になることになる。

 

結婚している男女間の常識

一般的には、子どもの母親に、夫がいれば、その夫を父とすることになっている[1]民法772条1項 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。。言うまでもないが、夫とは結婚している男性相手のことである。

この決め方は「母親は、結婚している男としか、子どもを設けないはずだ。」という社会的常識を前提にしている。

もちろん、社会的常識が通用しないことが往々にしてある。離婚した後に生まれた子どものことや、浮気相手との間に生まれた子どもの事は別途問題になる。ただ、今回は割愛する。

 

結婚していない男女間

今回は、結婚していない男女間に子どもが生まれた場合の問題である。

親同士が結婚している場合の常識が通用しない。

 

そこで、男の側に「この子の父親は私です。」と宣言させることになる。

それを認知という。自分から認知する場合を任意認知という。

 

中には、男の側が「自分は認知したくない。」と母親や子どもに言う場合がある。

その場合に、強制的に認知をさせることがある。それを強制認知という。

 

強制認知は、裁判所が男の代わりに「私があなたの父親です。」と宣言することである。

男が嫌がったとしても、裁判所が父だと認めれば、勝手に宣言する。

そして、法律の世界では、その男が、何を言おうと子の父親となる。

 

何故嫌がるのか?

認知は様々な法律関係を生じさせる。

例えば、浮気相手の子どもだった場合、浮気がばれてしまう。奥さんにバレたら、慰謝料を払って離婚しなくてはならなくなるかもしれない。

また、認知によって親子関係になった子に養育費等を払う義務も生じるかもしれない。これはかなりでかい。母親側も養育費が必要だから認知の訴えを起こすことが多い。

さらに、父親が死んだ際に、子どもに相続権が発生する。そのため、奥さんとの間に生まれた子どもと浮気相手との間に生まれた子どもの間で泥沼の相続闘争が発生することもある。子供に罪はないが。

結局、自分でまいた種とはいえ、もめ事がわんさと出てくる可能性が高まる。

だから男は認知を嫌がる。

裁判はどこに起こすのか?

フィリピン人女性と日本人男性の間に子どもが生まれたとする。

フィリピーナと日本人の男性が結婚していない場合には、認知が問題になる。

フィリピーナが認知の裁判を起こすとすれば、どの裁判所に訴状を出せばよいのか?

 

日本の法律では、日本の裁判所に訴状を提出することになっている。

フィリピン法では知らないが、日本の法律では日本の裁判所に出せると書いてあるので、出せる。

より具体的に言えば、被告となる男が住んでいる地域の家庭裁判所に訴状を提出するのが原則である。

 

何法を適用するのか?

日本の裁判所でどこの国の法を使うか

ここからがややこしい。

日本の裁判所で認知訴訟を争うとしても、どこの法律に基づいて判断をするかは別問題である。

フィリピン法なのか日本法なのか?

フィリピーナから生まれた子どもは、直ちに日本人とはいえない。父親が日本人かどうかはまだわからないからである。おそらくフィリピン国籍を持つことになる子どもに、日本法を使ってもよいものだろうか?

そういう問題である。

法の適用に関する通則法

日本では、どこの法律を使うのかを定めた「法の適用に関する通則法」という法律がある。

その29条に認知の訴えのことが書かれている[2] … Continue reading