憲法を知らない赤羽大臣は辞任に値する


令和3年8月16日、赤羽一嘉(あかばね・かずよし)大臣がとんでもない発言をTwitterに投稿した。

あるアカウントが臨時国会を開くよう赤羽大臣に促す投稿をしたのに対し、このように回答。

「臨時国会の開催については、国会が決めることでして、内閣には何の権限もございません。」

この発言で赤羽大臣は憲法に関する不見識さを露呈してしまった。

何が問題か

臨時国会とは通称であり、正式には臨時会という。

臨時会とは憲法で定められた国会の会期の1つだ。

憲法第53条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

国会は1年に1回は召集されることになっていて、これを常会という。

常会は1月に召集されて、大体150日間開かれた後、閉会する。

ただ、閉会後も国会で審議をすべき事項がある場合、どうするか。

この場合に召集されるのが臨時会である。

 

上記の引用のとおり、臨時会は内閣が召集を決定する。

日本国憲法上は、内閣が召集を決定し、決定内容に基づき天皇に臨時会を召集するよう助言をし、天皇が臨時会を召集する。

天皇は国政に関する権能を有さないから、天皇に実質的な召集するしないを決定する権限はない。

したがって、内閣が召集を決定すれば、自動的に臨時会は召集される。

つまり、憲法上、臨時会の召集権限は内閣にある。

 

赤羽大臣は「内閣に何の権限もない。」などと述べているが、大間違いである。

現内閣の違憲性について

ところで、立憲民主党、日本共産党、国民民主党、社会民主党の野党4党は令和3年7月16日に共同で臨時会の召集を要求している。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1557K0V10C21A7000000/

要求議員の総数は総議員の4分の1を超える。

したがって、上記で引用した憲法53条に従えば、内閣は臨時会の召集を決定しなければならない立場にある。

要求から1か月が経過した本日においても、臨時会が召集されていないのは、憲法53条に明確に違反する。

 

そもそも内閣と与党は臨時会の召集は不要と評価している。

しかし、不要かどうかを内閣や与党が決められるとすれば、少数会派に召集要求権を与えた憲法53条は全く無価値になってしまう。

したがって、条件を満たす要求があった以上、内閣や与党に臨時会の要不要を判断する権限などないと解釈せざるをえない。

内閣は明確に臨時会の召集を決定する義務を負うのである。

 

赤羽大臣の無知ぶり

つまり、野党4党の要求がありながら臨時会を召集決定しようとしない内閣の一員である赤羽大臣もまた、今回の違憲性に責任がある。

上記のような無知ぶりを発揮したのは、まさに「いけしゃあしゃあ」という言葉がぴったりである。

 

単なる無知ではすまされない

さて、憲法の条文をもう1つ引いておく。

憲法第99条

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

俗に言う憲法擁護尊重義務である。

赤羽大臣は当選8回の衆議院議員であると同時に、国土交通大臣兼水循環政策担当大臣である。

憲法を知らずして、一体どうやってこの憲法を尊重し擁護できるのだろうか?

はなはだ疑問である。

 

これが込み入った学説の内容であれば不勉強で済まされたかもしれない。

しかし、条文を見れば明らかであることまで誤った見解をどうどうと述べたとすればそれは許されざる無知と評価せざるをえない。

日本国憲法上、赤羽大臣に大臣及び議員の資格はない。

即刻辞任して憲法の勉強をし直すべきだ。

 

出身政党の公明党は、事あるごとに日本国憲法に一定の理解を示していることをアピールしてきた政党である。

「それでこの程度か」というのが率直な感想である。

まとめ

ある元首相は、いつも日本国憲法の条文を持ち歩き、憲法に忠実にあろうとしたとの逸話がある。

立憲主義を採用する我が国においてまさに望まれる態度である。

最近では憲法改正の声がまた大きい。

コロナ対策は改憲でしかなしえないという無知ゆえの暴言である。

しかし、議論は大いに結構だと思う。

ただし、現行の憲法も尊重できない無知な人間が、どんな憲法を語ろうと苦笑を禁じえない。

 


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