那覇簡裁職員が逮捕状を偽造、沖縄県警豊見城署も偽造に気づかず逮捕状行使!


那覇簡易裁判所の職員が、裁判官に無断で、逮捕令状と捜索差押令状を偽造したという、にわかには信じがたい事件が発生した。

朝日新聞等が報じた。[1]https://www.asahi.com/articles/ASLCZ5W0QLCZTPOB002.html 平成30年12月4日閲覧

事件の概要

職員が逮捕令状を偽造したのは平成30年11月13日。偽造は裁判官の押印がないというお粗末なものだったが、沖縄県警は偽造に気がつかずに15日に容疑者を逮捕。

16日に、区検察庁がようやく気がつき、容疑者を一旦釈放し、逮捕し直したというもの。

同じ日に、捜索差押令状も同様に偽造。

職員が同じかどうか、また、捜索差押令状が執行されたかどうかは不明。

憲法秩序を揺るがす大罪

逮捕令状も捜索差押令状も、日本では、裁判官が事件の記録を読んで必要であれば発付することが大原則になっている。

逮捕や捜索差押えは、家庭、仕事、評判など、人の人生に大きな負の影響を与える。逮捕されれば、本当は無実の人でも、何となく悪人に見えてしまうし、捜索差押えも、「悪い人なんだから、されたんでしょう。」という悪いイメージが定着してしまう。

だからこそ、警察が「何となくこいつを逮捕してやろう」で逮捕されるのは困るし、「嫌がらせに捜索差押えしてやろう」と痛くもない腹を探ることも困るので、「逮捕しても良いですよ」「捜索差押えしても良いですよ」という許可を、警察とは無関係の裁判所が発付することになっているのだ。裁判所は、警察が逮捕できなくても、捜索差押えができなくても、別に気をつかう必要はなく、逮捕しなければならない理由はあるか、また、捜索しなければならない理由があるかを判断することになっている。

これは法の中の法、最も優先されるべき法である日本国憲法にも書かれてあるくらい、大原則だ。

第三十三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

第三十五条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

なお、憲法には「司法官憲」と書かれているが、司法に属する官憲は裁判官しかいない。警察や検察は行政に属する官憲である。また、裁判所の職員は司法権はもっていないので、やはり司法官憲ではない。

引用は省くが、この憲法の条文を受けて、刑事訴訟法令にも細かなルールが定められている。

裁判所職員が、裁判官の知らないところで、勝手に令状を出したとすれば、それは明確なルール違反であり、しかも極めて悪質な部類といえる。

発覚したのが2件だけで、本当はこのような違法な令状がいくらでもあるのではないかと勘ぐりたくなる。

沖縄県警は何をしていた?

警察は、逮捕したり、捜索差押えをしたりするのは、日常的な業務である。

だからこそ、令状もいくらでも見ているはずである。令状に書かれてあることはさほど多くはなく、しかもほとんどの記載は警察が書いて、裁判官がチェックするだけだから、発付された令状でチェックすべき項目は、裁判官の署名押印があるかどうかだけである。

これがないことに気がつかずに、漫然出された令状をつかって、逮捕・捜索差押えしたとすれば、やはり注意力散漫と言わざるを得ない。署名押印の有無は見落としてしまうようなものではないのである。区検察庁がすぐに気がついたことからも明らかだ。

文書偽造では?

権限のない者が権限のある公務員が作成すべき文書を、勝手に作ってしまったとすれば、これは公文書偽造罪(刑法155条)にあたる可能性もある。

こんな前代未聞の事態について、再発防止ではなく、一罰百戒の信念をもって、厳正な処分が行われることを期待したい。


References

1 https://www.asahi.com/articles/ASLCZ5W0QLCZTPOB002.html 平成30年12月4日閲覧

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