第1話
前半の教室のシーンで教員が読み上げているのは古文。原典は四谷怪談。
「今をも知れぬ此岩が、死なばまさしく其娘、祝言さするは是眼前。たゞうらめしきは伊右衛門殿。喜兵衛一家の物共も、何あんをんに、有べきや。思へば思へば。ヱヽ、うらめしい。」
お岩が夫である伊右衛門に裏切られたことを知った直後の独白である。
お岩がこのあと伊右衛門をどうするかは周知のとおりである。School Daysの結末を暗示するものである。
後半の教室のシーンで教員が読み上げているのは原典は不明だが、男装の麗人と呼ばれた川島芳子のこと。
川島芳子は戦前の大日本帝国工作員。中華民国が戦後に銃殺刑にした。
伊藤誠への思いを隠しながら、桂言葉の身辺を探る、西園寺世界の役回りはスパイのようである。工作対象から殺されるというのも川島芳子とかぶる。
川島芳子が情報を提供していた大日本帝国も、伊藤真と同じように破滅した。
第1話は伊藤真が予想外の事態に激昂する様子も描かれた。
誠が「言葉を好きなことを誰かにばらしたか?」と世界に詰め寄るシーンである。
なんとも悲劇的な様子である。
第2話
映画のシーン。言葉は映画の登場人物を誠と世界に重ねる。
その後の「知らなかったの? 私ピーターと付き合ってたのよ。」というセリフは誠と世界が言葉を裏切る伏線。
ブランコに乗りながら、世界が言葉に相談しているシーンも、劇中映画のベッドで女友達同士が恋の相談をしているシーンと重なる。
世界を心配する刹那は1話に引き続き。
伊藤のために言葉を敵視する加藤は2話から登場。
第3話
桂言葉のことは「桂」、西園寺世界のことは「世界」と呼ぶことについて、一悶着があった。
話の端々に世界の同伴を期待する誠の言葉が散りばめられる。
最終的には、「言葉といるの疲れる。」というとんでもない発言が……。
第4話
性的な関係に進めないことに苛立つ誠の回。
世界は進め方がまずいと指摘し、自分が特別な練習に付き合うと誠に言い寄る。
後半、世界と誠の教室で、教員が朗読しているのは森鴎外のヰタ・セクスアリスの一節。
「それから古賀が歩きながら探険の目的を話した。安達が根津の八幡楼という内のお職と大変な関係になった。女が立て引いて呼ぶので、安達は殆ど学課を全廃した。」
説明すると次のことを説明する段である。
ヰタ・セクスアリスの主人公金井にはルームメイトの古賀がいた。
古賀は安達という美少年を可愛がる硬派な学生である。
ところが安達は遊郭の女に夢中になってしまい、古賀の下を去って、学業でも落ちぶれてしまい、ついには学歴エリートコースから転落してしまう。
古賀が言葉、遊郭の女が世界、安達は誠の隠喩だろう。
他方、後半、言葉の教室で教員が朗読しているのは、これまた森鴎外の作品である。
こちらは教科書にも載っていた舞姫。
主人公豊太郎が親友相澤からの勧めで恋人エリスのことを捨てようと思って出張に出ていくシーンである。
当然、豊太郎が誠、親友相澤が世界、エリスは言葉の隠喩である。
このあとエリスの妊娠が発覚して豊太郎はますます別れを言い出しにくくなるが、相澤がエリスに全てを告げてしまい、エリスは発狂し、最低な結末へと進んでいく。
第5話
冒頭は世界と言葉の間で揺れ動く誠のシーン。
言葉が誠に積極的にアプローチしていくが、誠は少し引いている様子が続く。
さらに誠は、世界からは自分のことは忘れてと言われ、衝動的に誠が世界に会いに行ってしまう。
挙げ句に「世界のことが好きだ。」と一線をこえる。
誠の強い衝動性がうかがえるエピソードである。
第6話
すっかり世界に夢中の誠が冒頭シーン。
前半の教室のシーンの朗読は林芙美子の泣虫小僧の一節。
「啓吉は賑やかな町へ来た事がうれしかった。路地を抜けると、食物の匂いのする商店が肩を擦り合うようにして並んでいる。」
泣虫小僧は母親にうとまれて親戚の内に半ば捨てられたように預けられる啓吉という子どもが主人公の悲しい話である。
朗読されている一節は、まだそんなこととは知らずに啓吉が叔父さんと他愛もない話をする節の冒頭である。
裏切られたことを知らない啓吉が言葉、裏切った母親が誠、裏切りに加担しつつ啓吉を不憫に思っている叔父さんが世界の暗喩である。
そして、世界は言葉に強い罪悪感を覚えており、言葉に真相を告げようと誠にいうが、誠は応じようとしない。
なお、啓吉は辛酸をなめたあと、最後トラックに轢かれて意識が遠のいていく。
この描写で泣虫小僧は終わり。
死んだとも、助かったとも書かれていない。
まるで言葉の最終回のシーンのようでもある。
続いての世界史の授業で紹介されているのは荀子。
中国の思想家で性悪説で有名。「人の性は悪なり、その善なるものは偽なり。」と説く。
ここで「悪」というのは「弱い」と読み替えて良いそうだ。
人は弱い生き物で、後天的に礼儀等を身に着けていく努力で強くなるという思想と紹介される。
全く、誠や世界はまさに礼儀なり規範なりを身に着けぬまま、死んでいったように見える。
荀子が説くように、弱かったということだろう。
世界が誠に抱き寄せられようとしている様子を電車内で目撃する言葉のシーンもある。
おそろいの携帯やペアルックを希望する言葉に対して、誠はつれない。
そもそも道でコケた言葉にかけよろうともしない。面倒くさい感じを隠そうともしない。
誠は「おれやっぱり世界がいい。」と言葉から完全に気持ちが離れていったようである。
言葉をいじめている加藤乙女が誠のことを好きなのだということも示される。
そして乙女と言葉も徹底的に対立を深める。言葉が乙女に対し強い敵意を向ける。
ここまで強い気持ちを向けているにもかかわらず、誠の方は言葉を捨てようとしている。
そして結末では言葉が屋上で愛を語り合う誠と世界の二人を見てしまうのである。
第7話
冒頭はいちゃついている誠と世界を見て、屋上に上がれずにいる言葉のシーン。
世界の「屋上で食べるのも、もう終わりかな。」というセリフが伏線。
これを期に三者が仲良く活動することはなくなる。
第8話
刹那にもフラグを立てていたエピソードが語られるし、刹那と誠のキスシーンもある。
このあたりから紊乱が極まり始める。
第9話
仮面劇は刹那の過ちの伏線。
「この世界を守りたかっただけだ。」という劇中劇のセリフは、刹那の主張が詭弁であることを示す。
休憩室の伝統(単なる連れ込みスペース)が明らかになる。
加藤を品定めするようになる誠。
宇月が登場し、「塾の先生。かっこいい」という意味深なセリフが出る。特に回収されない。
フォークダンスは誠と世界が踊り、澤長が言葉を抱きしめ、誠が世界を選んだことを知らされながら、レイプされるシーンで終わる。このあたりから鬱度が増してくる。
第10話
冒頭、澤長にレイプされた言葉が、誠と世界が踊り終わりにキスするシーンを見て泣き崩れる。
言葉の家のヨットがメンテナンスで港に戻ったと言われるのも伏線。
「もう会わないほうが良い」と誠が宣言する。
「もう言葉のこと好きじゃない。」などという発言まで飛び出し、言葉は座り込んでしまう。
言葉の自宅の家の包丁がアップで描かれるのも伏線である。
誠と加藤の関係が世界にバレる女バスの上映会が開かれる。
加えて、死んだ目の言葉から刹那との関係も示唆される。
第11話
何故か黒田と誠が同衾しているシーンがある。唐突である。
その他の女子にも手を出していることが示唆される。
不通の誠の携帯電話に語り続ける病み言葉。
誠から送られた愛のあるメールを読み返す世界。
加藤の取り巻きを次々と食う誠。
「ヨットで過ごすのも素敵ですね。」という言葉のセリフは伏線。
刹那が撮ったであろう自分と誠との写真を眺める世界。
世界妊娠疑惑が校内中に広まる。また、世界の部屋で包丁に焦点があたる。
つながらない携帯でクリスマスツリーの前で誠と待合せを宣言する言葉。
季節は冬、雪である。
誠は世界のことがあって誰からも相手にされなくなる。
「なんで俺こんな目に!」と悪態をつきながら、言葉のことを思い出す。
奇しくもクリスマスツリーの前である。
言葉の直球の愛に誠は動揺し、泣き崩れ、言葉に謝罪する。
第12話
家で待つ世界と電話で口論する誠。
ガシャンという音とともに暗転。
家で言葉・世界・誠が3者で鉢合わせ。
言葉は誠の浮気を容認するようような発言で誠を許し、
誠を責め立てる世界は、刹那の裏切りを知らされると同時に、誠と言葉の激しいキスを目の当たりにし、悲鳴を上げる。
学園祭での刹那の登場シーンで上演された劇中劇が世界の心象で再現される。
世界も刹那を裏切っていたことが指摘され、また世界に中絶を勧める誠からのメールに世界は暗転する。
言葉と誠はヨットで海に行く約束をしていたことを示唆する言葉と心の会話。
この裏で「ひどいよ! 自分だけ桂さんと幸せになろうだなんて!」
この絶叫とともに世界は誠を刺殺する。
因縁の屋上に呼び出される世界。
このときの世界と言葉の演技は声優の能力が遺憾なく発揮された傑作だと思う。