残念なお知らせです。国際ロマンス詐欺や恋愛詐欺の被害者のみなさん。あなたが泣き寝入りする可能性はほぼ100%です。
その理由を書くとともに、これからどうすればよいか書きますね。
1 国際ロマンス詐欺、恋愛詐欺とはなにか?
被害者に恋愛感情を抱かせて、ありもしない投資話や、自分の困窮、病気等の話をでっちあげて、お金をだまし取る詐欺のこと。
典型的な例をあげよう。TwitterやFacebook、マッチングアプリ等でメッセージをやり取りして、好意を抱かせる。話を聞いてくれるし、トークもそこそこ面白い。プロフィール画像を見るとイケメンか可愛い女の子だ。
ある日「実は母が病気なの」などと困っている様子のメッセージが送られてくる。それまで「母子一人で頑張っている」とか「奨学金を返すために昼夜働いている」などという設定を聞かされているあなたは、「お金は大丈夫だろうか」と心配になる。そうさ。あなたはもう既に彼・彼女のことを好きになっている。好きな人のことを心配するのは当然のことだ。他には「君に会うための来日費用がほしい」とか「パスポートの取得費用が必要」とか「頑張っている音楽活動のライブ開催のために必要」とか色々パターンはある。
そこで「もしよければ援助しようか」という話をあなたはしてしまう。相手はそれに飛びつく。そしてあなたはお金を送金する。
いずれも、相手に好意を抱かせて、別に困っていないのに、困った風を装って、お金をせしめるというのが共通点だ。
これはれっきとした詐欺である。
2 騙されたときにはもう遅いよ
お金を取られたあと連絡が取れなくなるケースはよくある。ただ、それならまだ良心的な方で、悪質な場合にはさらに搾り取れるまで搾り取ろうと、嘘に嘘を重ねてもっとお金をとられていく。
「自分はダマサれているのでは」と気づいたときにはもう遅い。
恋愛詐欺・国際ロマンス詐欺に限らないことだが、相手があなたに語っていた素性(出身地、名前、就職先、収入)などは十中八九全て嘘だ。
しかも、そもそも携帯電話やアカウント自体が、他人のものだったりする。通帳の口座ですらそうだ。
つまり、どこの誰にダマサれたのか、素人にはさっぱりわからない。法的には「誰に返金を請求すればよいかわからない。」ということでもある。
加えて、なんとか苦労して加害者を特定したとしよう。
でも回収ができない。その加害者がどこに金を溜め込んでいるのか、そもそも溜め込んでいるのか、確実に調べる方法はない。
それに、銀行の口座がわかったところで、こんな詐欺を働くような奴がせっせと金融機関の口座に貯金をしているかというと・・・・・・。しないよね。
つまり、加害者が特定できても、返させるお金がない。
3 泣寝入りですか?!
多くの弁護士が言われ慣れているセリフ第1位が「泣寝入りですか?!」だ。
国際ロマンス詐欺・恋愛詐欺に関して言えば、「そうなる可能性が極めて高いですね。」という話になる。
私は「泣寝入りといえば泣寝入りですが、見方を変えれば損切ですよ。損切。これ以上損しないようにしてください。」と返すことが多い。
どういうことかというと、要は「被害金の回収にお金をかけるな」という話である。
被害金を回収するためには、様々な法的手続きを駆使しなければならなくなる。そうなると一般人にはほぼ無理だ。だから多くの場合、弁護士に依頼することになる。でも弁護士に依頼するには費用がかかる。その費用は最低でも数十万円だ。
全く回収できる見込みがない事件に、数十万円をかけるのはなんとももったいないことだ。
もしあなたが相談した弁護士が「十分回収できる見込みがありますよ」とか「自分はこういう案件で多くの賠償金を取ってきた」などと言ったとする。これは別の詐欺にあっている可能性が高い。それはそこらへんの大工の一人親方が「自分はお城を建てられますよ。」と言うようなものだ。ありえないと断言まではできないが、ほとんどありえないこと。
(参考:国際ロマンス詐欺案件を取り扱う弁護士業務広告の注意点2 令和5年12月26日閲覧)
私のような平々凡々な弁護士は「今踏み込むと、泣寝入りよりもなお悪い。もっとお金がかかって損をしますよ。今日、弁護士に相談されたのは良かった。これ以上お金が無くならないで済むのだから。」というのが関の山である。
4 それでも何かしたいなら
警察に行きなさい。警察が捕まえてくれれば、加害者が被害弁償を申し出てくるかもしれない。「いただき女子」にもそういう人がいた。私はその被害弁償金が、他の誰かからだまし取った金でないことを願うばかりであるが。