私自身は「神様」「仏様」という絶対的な何かを信奉する気持ちは持ち合わせていない。
ついでにいうと世の宗教家というものにも、第一印象は「うさんくさい」「こいつはやばい」という印象から入ってしまう。
おそらくこのあたりはバブル前後の新興宗教をめぐる様々な問題、騒動、そして何よりあの一連のテロ事件が脳裏に焼き付いているのだと思う。
ただ、それでも話を聞くとなるほどなぁと思うこともしばしばある。
それなりの見識は認めなければ、やはり食わず嫌いというものだろう。
最近ではYouTubeで禅宗のお坊さんの話を聞けるようにもなった。
そこで、自分が聞いて面白かった禅のお話を3つ紹介しようと思う。
1 横田南嶺
臨済宗円覚寺派の管長でもある横田南嶺老師は、禅宗の僧侶の中でもコロナをきっかけにYouTubeを積極的に活用されている。
老師は花園大学の総長でもある。
語り口は重々しいものではなく軽妙である。
YouTubeチャンネル:【公式】臨済宗大本山 円覚寺
近年は毎日管長日記という15分弱の法話を毎日のように配信している。
動画の最後には呼吸瞑想の時間があるので、話自体は10分前後ぐらいになるだろう。
ただ、毎日管長日記は割と説教臭い話が多い。
説教臭いというか説教そのものなのだが、それなりにとっつきにくい。
信仰心がないと大して面白くない話も多いし、たくさん聞いてると「この前聞いたな」というネタかぶりも若干気になる。
ただ、実は横田南嶺老師の動画で一番面白いのは花園大学公開講座なのだ。
1時間ぐらいの長い動画が多いが、聴衆の存在で老師もノリに乗っているのだろう。
小粋なトークも挟みながら、禅の思想を語っている。
中でもオススメなのは2018年11月の「禅とこころ」である。
サムネはむちゃくちゃゴチャゴチャしていて、一見すると危ない動画にしか見えないが、内容は素晴らしい。
私はこれを聞いたときに感動した。
こちらもおすすめ。
2 ネルケ無方
ドイツ出身の曹洞宗の僧侶。自給自足で座禅をしまくることで有名な安泰寺という寺の住職をしていた。
なんと年間1800時間座禅しているのだそうだ。
私はNHKの「こころの時代」で「天地いっぱいを生きる」という番組を観て初めて知った。
その番組自体もとても面白かったのだが、なにが特徴かというと、哲学的なのである。
あまり宗教性を感じさせない語り口である。
会って話すときに宗教性を感じさせない宗教家は詐欺師だと思って警戒するが、YouTubeで宗教性を出さない宗教家からは騙される心配はない。
Youtubeチャンネル:Muho Nölke
外国語の動画も多いが、日本語での講義の動画も多数配信されている。
また安泰寺での生活を撮影した動画もあるので、ふーんこんな生活なんだと思って観ている。
自分はとてもできないね。
あと、鹿をさばいて食ってる動画はびっくりした。
3 山川宗玄
臨済宗妙心寺派の僧侶で岐阜県美濃加茂市にある正眼寺の住職をしている。
なんとなく私の中の禅宗の坊さんというイメージにぴったりくる方である。
正眼短期大学の学長でもあり、NHKでもよく取り上げられていたため、印象に残っているのかもしれない。
このたび、福井テレビチャンネルが「『禅語』に学ぶ知恵」と題して動画を公表した。
特に面白かったのがこちら。
まだ全部は観れていない。
おわりに
どんな宗教でもそうなのだろうが、信仰という理屈ではない部分と、哲学という理屈の部分とが内在している。
宗教的なものを忌避して、哲学まで切り捨ててしまうのは大変にもったいない。
それはそれ、これはこれで学ぶ所があれば学べばよいのだろうと思う。
なお、著作権等の関係でとても紹介はできないが、永平寺に関する動画や、山川宗玄老師のインタビューなどはとても面白い。
NHKはバンバン再放送してほしいものである。