芸能人と不祥事・芸人達の闇営業・記録抹消刑――ダムナティオ・メモリアエ


お笑い事務所の吉本に所属している芸人達が世間を騒がせている。反社会勢力に闇営業をしていたというのだ。闇営業とは事務所を通さずに仕事をすることだ。

闇営業をされると事務所は芸人の仕事から報酬を受け取ることができない。芸人の闇営業とは事務所を裏切る行為に他ならない。そういう理由でかどうかは知らないが、カラテカの入江を契約解除、雨上がり決死隊の宮迫やロンドンブーツの田村を謹慎として厳しい処分を下している。

反社会勢力への営業はもう一つ別の問題を提起している。今回の問題は振り込め詐欺グループの忘年会に出て金を受け取っている。要は犯罪集団が被害者から巻き上げた金を芸の報酬として受け取ったということが非難されているのだ。[1]場合によっては脱税や犯罪収益の移転ということで犯罪行為になり得る。

事務所から解雇されるだけでなく、出演していた番組からは降板、既に収録済みの番組についてはデータを編集して出演していないかのように加工されて放映されたそうだ。

記録抹消刑

古代ローマには記録抹消刑という懲罰があった。ラテン語では”Damnatio Memoriae”。直訳すると「記録上の断罪」だろうか。

主に元老院が敵対するローマ皇帝が倒れた後、そのローマ皇帝の業績の一切を否定し存在しなかったことにするという懲罰である。これにより名誉も名声も栄誉も全てが失われ、ローマ皇帝として努力してきたことも一切無かったことになる。似たような事例として古代エジプトのアクエンアテン王に行われた記録抹消がある。名誉が今以上に重んじられる古代にあっては死罪よりも重たい処罰ともされていたらしい。

 

記録に残りたいという欲求は、名誉心とか虚栄心とか承認欲求とか、色々言われるが、もっと平たくいえば「目立ちたい」ということだ。芸人もおそらく「目立ちたい」という欲求がまずあり、その後の金が欲しいとか女にもてたいとか色々な欲求が出てくるのだろう。金が欲しいが目立ちたくはないと言う人間は、芸人などという厳しい道を選ぶ必要が無いのだ。

芸人がもつ根本の欲求が「目立ちたい」というものである以上、「目立てた」「注目を浴びている」ということも重要な快感であろう。

 

ところが番組降板、従前の番組からは抹消といった処分をとられることは、芸人にとって全てを失うに等しい。ある意味、死ぬより辛いノではなかろうかと思う。昨今のテレビ業界は再放送を禁止したり、編集で不祥事芸人を消したりすることが多いが、現代の記録抹消刑といっても過言ではないだろう。


References

1 場合によっては脱税や犯罪収益の移転ということで犯罪行為になり得る。

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