高野秀行の『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』を読んだ。
世界各地の思いもよらない料理の紹介本。
ゴリラやピラニア、エイにサメといったイメージしやすい食材も紹介される中、
モルモットにヤギの消化物といった仰天するような食材も紹介されていた。
また調理法も驚くべきものだ。
竹筒に入れて蒸すくらいの話なら日本人でもイメージができるし、おしゃれにすら感じる。
その一方で、カエルをミキサーにかけて飲むといった俄かには信じがたい調理法もある。
口噛み酒の話も面白かった。大ヒット映画「君の名は」で描かれていたようなカヨワイものではない!
こうしてみると料理という人間の日々の営みが、本来いかに自由なものなのかを実感した。
日本人が思わず目を背け、思わず避けてしまうような料理でも、世界の人々が家族とともに同じテーブルで食しているのだ。
そして、この筆者も果敢に同卓し、時に勇気を出しながら、時に喜び勇んで、時に(法的にも)危ない橋を渡りながら、食べていく。
大げさな話かもしれないが、他者が食べているものを尊重し、自分もありがたく頂くという営みに、実に自由を尊重する姿勢、多様性を感じたのである。
日本もそろそろ虫を食わねばならない時代になったと言われる。
世の中コオロギを加工して食えだの、食いたくないだのと言説が飛び交っている。
しかし、大丈夫だよ。人間は誰かが食ってるものをありがたく食っていれば、生きていける。そんな風に思った。