読書メモ:森まゆみ『暗い時代の人々』 どうしてこの題名にしたのか?

森まゆみさんの『暗い時代の人々』の感想。   『暗い時代の人々』という題名の本はもう1冊ある。ハンナ・アーレントの評伝集だ。アーレントの『暗い時代の人々』は第二次世界大戦前後の全体主義の世紀である「暗い時代」に … “読書メモ:森まゆみ『暗い時代の人々』 どうしてこの題名にしたのか?”の続きを読む

読書メモ『世界史を大きく動かした植物』

稲垣栄洋の『世界史を大きく動かした植物』を読んだ。 著者は『生き物の死にざま』といった本も出しており、変わった切り口で、動植物の生態を描くことで知られている。 著者の本は、学者らしく文章が明晰で簡にして要を得る記述なので … “読書メモ『世界史を大きく動かした植物』”の続きを読む

読書メモ『蝶と帝国』 ※ネタバレ注意 考察あり

南木義隆の『蝶と帝国』を読みました。   南木義隆といえば、ナムボク名義で百合文芸小説コンテストに投稿した『月と怪物』が大きな話題となったことで有名な作家です。 百合小説というと女性同士の恋愛を描いた作品ですが … “読書メモ『蝶と帝国』 ※ネタバレ注意 考察あり”の続きを読む

読書メモ『鎌倉仏教』平岡聡

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は毎週欠かさず観ている。Twitterでも大盛りあがりだ。みんな鎌倉時代が好きなのだろう。 ドラマでもよく僧侶が出てくる。が、あまり宗教的なことが描かれることはない。例外は運慶だろうが、それも … “読書メモ『鎌倉仏教』平岡聡”の続きを読む

「過客」とは何かーーおくのほそ道の元ネタとの関係

「百代の過客」とは何か? 松尾芭蕉の『おくのほそ道』は、次の一文から始まる。 月日は百代の過客にしてゆきかふ年も又旅人なり 「月日は永遠に旅をする旅人のようなものであり、過ぎ去っていく年月もまた旅人だ。」 という意味で紹 … “「過客」とは何かーーおくのほそ道の元ネタとの関係”の続きを読む

読書メモ『日本神判史 盟神探湯・湯起請・鉄火起請』清水克行

裁判という制度は権力が生まれた有史以来、脈々と続けられていた。もちろん大きく形を変えながら。 かつての形をかいまみることができる、そんな本が 清水克行先生の『日本神判史 盟神探湯・湯起請・鉄火起請』中公新書、2010であ … “読書メモ『日本神判史 盟神探湯・湯起請・鉄火起請』清水克行”の続きを読む

読書メモ 「労働組合像の交錯 戦後初期日本の労働運動と共産主義」『社会主義の世紀』

日本の労働組合には2つのおおよそ否定的な評価がつきまとう。 (1)「反戦」「平和」といった政治活動をしている結果、現在では活動が低調である。 (2)日本共産党の政治闘争に巻き込まれた結果、現在では活動が低調である。 この … “読書メモ 「労働組合像の交錯 戦後初期日本の労働運動と共産主義」『社会主義の世紀』”の続きを読む

読書メモ『倭寇・人身売買・奴隷の戦国日本史』渡邊大門

新年あけましておめでとうございます。 新年早々ですが渡邊大門の『倭寇・人身売買・奴隷の戦国日本史』(Amazonの頁に飛びます。)を読んだ。 1 著者について 渡邊先生は日本史の学者だ。よくネットニュースに記事を投稿され … “読書メモ『倭寇・人身売買・奴隷の戦国日本史』渡邊大門”の続きを読む

読書メモ 『言論抑圧 矢内原事件の構図』将基面貴巳

「身体ばかり太って魂の痩せた人間を軽蔑する。諸君はそのような人間にならないように」 東京帝国大学経済学部教授にして、戦後、東大総長にもなった矢内原忠雄の言葉である。 戦前、大学を辞職せざるを得なくなった矢内原が「最後の講 … “読書メモ 『言論抑圧 矢内原事件の構図』将基面貴巳”の続きを読む

読書感想文 森本あんり『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』新潮選書

森本あんりの『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』を読んだ。 アメリカが独立する以前の植民地時代に活躍したロジャー・ウィリアムズという筋金入りの変人を中心に、「寛容」を考察している。 日本人は寛容か 私は常々感じて … “読書感想文 森本あんり『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』新潮選書”の続きを読む